おはようございます
田中です
今日のお話です
どうぞご覧ください
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読めない記事や画像が無い記事が
御座いますがご了承ください
近年のタイヤ技術
先日、福野礼一郎さんから
近年のタイヤ技術の事を
教えて頂きました
以下、福野さんより
2008年7月7日に日本で開催された
G8北海道洞爺湖サミットでは
衝撃的な発表がありました
国際エネルギー機関(IEA)が
全世界の輸送における
エネルギー消費のおよそ80%が
自動車によるものであり
その燃料エネルギーの約20%は
タイヤの転がり抵抗に
よって消費されている
と好評したのです
この日以来、
世界中のタイヤメーカーは
「転がり抵抗の低減」
という困難な技術的命題を
つきつけられました
タイヤの転がり抵抗が燃費に
寄与する割合は、IEAの指摘の通り
市街地走行で7~10%
高速走行では20~25%にも達します
この無駄が毎日世界中で膨大な量の
エネルギーを浪費し
二酸化炭素排出量を増加しています
ではなぜタイヤには
転がり抵抗が生じるのか
タイヤが転がると
路面の凹凸に起因して
トレッドなどが変形
これによってゴムが発熱し
転動の運動エネルギーの一部を
熱エネルギーに変えてしまうからです
それによってエネルギーをロスしています
転がり抵抗(RR)=
周方向・断面内の変形 x エネルギーロス
転がり抵抗係数(RRC)=
転がり抵抗/荷重
一方、加速時やコーナリング時や制動時に
タイヤが路面に対して発生している
グリップ力を生む主体は
実はトレッドパターンやタイヤの太さではなく
ゴムによって生じる「ヒステリシス摩擦」です
ヒステリシス摩擦とはゴムが変形して発熱し
運動エネルギーを熱エネルギーに
変えることによるロスによって生まれます
タイヤが転がり続けようとする
運動エネルギーをより多く熱エネルギーに
変えることが出来れば
それだけグリップ力は向上するのです
つまりタイヤの転がり抵抗は
タイヤのグリップ力と
完璧に背反しています
タイヤの性能を下げずに
「タイヤの転がり抵抗を低減する」
のはだから技術的に非常に困難なのです
このため世界のタイヤメーカーは
この15年間、タイヤ理論の抜本的な改良に
取り組んできました
たとえばゴムに対する
シリカ=二酸化ケイ素(SiO₂)の配合
タイヤにはカーボンが配合されています
(=タイヤが黒い理由)が
その役目はゴムの補強です
しかしカーボンとゴムは接着力が弱く
互いにくっついたり離れたりします
それによってゴムが発熱するわけです
カーボン同様にゴムの補強材の役目を
することができるシリカは
ゴムと化学結合するので
変形しても結合がはずれず
しかも結合状態がカーボンよりも柔軟なので
発熱しにくいことがわかりました
発熱を抑制できれば
エネルギーロスが減って
転がり抵抗を軽減できます。
最近のタイヤはサイドウォールに
冷却フィンをつけています
あれは模様ではありません
あんなものでもタイヤが
高速回転すると乱流が生じて
わずかにでもゴムが冷却されるのです
涙ぐましい努力です
もう一つの画期的なアイディアが
タイヤの大径化です
タイヤの外径が大きいと
路面に接していくときに
トレッドが少しずつなめらかに
つぶれながら変形していくので
発熱が少なくなります
また大径化すると接地長が長くなるので
ウエット走行時にトレッドで
水を押しのけて排水していっても
接地長に余裕があるたね
グリップが確保できるという
メリットもあります
また同じタイヤ幅の小径タイヤに比べると
エアボリュームには大差がないにもかかわらず
高内圧にしたときの転がり抵抗の低減率が
大径タイヤのほうが
大きいということもわかりました
こうしてタイヤを大径化すればトレッドを細くして
転がり抵抗と空気抵抗を軽減しても
グリップを確保できるようにできました
まさに天才的発想です
これを主導したのは
ミシュランとブリヂストンです
以上です
この技術を知って
先日のメルマガの私が書いた
「195/50R19
見たことのないサイズが装着されていて
19インチと大径なのに195と幅が狭い
大径タイヤならではのカッコよさと
195という幅の狭さで空力面でも
低燃費に貢献する
という売りですが
空力?
低燃費?正直、どちらもあまり興味ありません」
という文章は撤回致します
確かに最近のタイヤは
サイドウォールに凹凸があり
タイヤ洗浄の時に
「このデザインは何のため?」
と感じた事もあります
タイヤメーカーの
涙ぐましい努力を知らず
知識不足と最新技術に反する考え方
お恥ずかしいです
反省します
新型プリウスを購入しても
ホイールを変える事はないでしょう
最後まで読んでくださって
ありがとうございました
ではまた明日
今日も素晴らしい
1日になりますように
田中健介
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